- JTが減配されたけど、次に減配されそうな連続増配銘柄ってどこ?
- JTと似たような業績の銘柄を知りたい
- 高配当・連続増配銘柄への投資で注意したほうが良い銘柄を知りたい
こんな方に向けた記事です。
高配当銘柄の代表格だったJTが減配を発表してから1ヶ月が経とうとしています。
業績は悪いものの、まだ数年は配当は据え置きすると考えていただけに、株式市場にも大きな衝撃が走りました。
次にJTみたいに減配をする企業はどこなんだろう・・・
自分が投資していないか不安だ・・・
と考えている方も多いと思います。
そこで本記事では「実は業績が低迷している連続増配企業」を特集していきたいと思います。
なぜ「高配当株」ではなく「連続増配株」の中からなのかという点を補足しておきます。
JTも16年連続で増配を続けていましたが、業績は低迷し、株価が下落して高配当化していました。
連続増配→業績低迷→株価下落→高配当化→減配・・・
という流れです。
そのため「連続増配株」の中から、「実は業績が低迷していて数年後に減配しそうな企業」をピックアップしていきます。
- 2020年時点で10年以上連続増配を続けている企業
- 2021年も増配を継続する予想
- EPSが下落傾向にあり、配当性向が高まっている企業
※株価・企業情報は2021年2月末時点の情報をもとに執筆しています。
JTの業績・配当の推移のおさらい
まずはじめに「2914 JT」の業績・配当の推移をおさらいしていきます。
JTの業績の推移
10年間の推移を見ても、
- 売上:ほぼ横ばい
- 営業利益:年々減少
という傾向が見て取れます。
特に2015年以降の下落は顕著で
- 売上:約8%減
- 営業利益:約25%減
配当の原資を事業で稼ぐことが出来ていないことがわかります。
JTの配当の推移
一方、配当金は年々上昇を続けていきました。
2004年に初めて配当が出されて以降、2019年まで16年連続増配を続け、
- 2004年:10円
- 2019年:154円
と15.4倍にまで増配を続けました。
しかし、事業は下落を続けていたため、EPSは右肩下がりを続け、結果的に配当性向は年々上昇していました。
- 2015年:43.62%
- 2016年:55.21% ← 配当性向50%を超える
- 2017年:63.90%
- 2018年:69.67%
- 2019年:78.58%
- 2020年:88.06% ← 連続増配をストップ
- 2021年:96.08% ← 減配予想
配当性向50%を超えてから、4年で増配をストップ、5年で減配という急速な下落でした。
減配を発表した2021年の配当性向は96%であり、会社発表も「配当性向75%」を打ち出していることから、今後もさらなる減配が予想されています。
減配が心配な連続増配銘柄3社
続いて「JT」と似た軌跡を辿りそうな「連続増配銘柄」を3社ご紹介します。
コード | 銘柄名 | 連続増配年数 | 配当性向 | 過去3年EPS成長率 | 配当利回り |
---|---|---|---|---|---|
4452 | 花王 | 32 | 54% | -4.20% | 2.00% |
4732 | ユー・エス・エス | 21 | 63% | -2.89% | 2.74% |
2391 | プラネット | 20 | 61% | -2.65% | 2.79% |
※連続増配年数・配当性向は2021年の業績予想値にて算出
※過去3年EPS平均成長率は、2017年を基準に2020年までの平均成長率
この3社は20年以上に渡り増配を続けている「連続増配銘柄」です。
配当利回りも2%台と高配当とまでは言えず、市場からは「まだ成長を続ける可能性がある」と認識されているかもしれません。
「連続増配」に強い意志を感じる企業のため、今後も数年は増配を継続すると思います。
しかしEPSの推移を見ると、コロナ禍に関係なく、下落傾向にあり、配当性向も年々上昇しています。
このまま業績が低迷した場合、「減配」という未来が見えてきます。
JTと同じように、
連続増配→業績低迷→株価下落→高配当化→減配・・・
の可能性が高そうな傾向が見て取れるので、個別に解説していきます。
4452 花王
様々な家庭用品を幅広く取り扱っている企業で、
- 衣料用洗剤の「アタック」
- 掃除用品の「クイックルワイパー」
- シャンプーの「メリット」
など、幅広いブランドで家庭に根ざした商品を取り扱っています。
業績の推移
12月決算であり、2020年12月はコロナ影響を大きく受け業績は下落しました。
2021年は2020年度比で
- 売上:3.5%
- 営業利益:0.8%
の上昇を予想していますが、過去最高を記録した2019年水準までは戻りません。
家庭用品を扱っていることから、業績が一気に下落することは考えにくいですが、「人口減少時代」にどこまで業績を維持できるかが鍵となってきます。
配当の推移
日本で最長の連続増配年数を誇っている企業であり「連続増配」にはどの企業よりも強い意志を持っていると考えられます。
しかし、2018年以降はEPSが下落しており、
- 2018年EPS:314.25
- 2020年EPS:262.29
と17%も減少をしています。
結果として配当性向も上昇を続け、50%を超える水準となりました。
過去には70%を超える配当性向でも増配を続けていたことから、今後も増配は続くと考えられます。
しかし、「コロナ禍」「人口減少」の時代に、業績成長を続けられなければいずれ減配を検討しなければなりません。
4732 ユー・エス・エス
中古車のオークション運営として、最大手の企業です。
「中古車」を軸にして、
- オートオークション事業:衛生TV、ネットを通じた中古車オークションの運営
- 中古自動車買取販売事業:中古自動車買取店の「ラビット」を展開
- リサイクル事業:廃車のリサイクル
を展開しています。
業績の推移
同社の特徴は「営業利益率」で営業利益率45%を記録する「超高収益企業」と言えます。
2021年はコロナ影響で業績の下落が予想されており
- 売上:-9%
- 営業利益:-9%
となります。
ただし、「高い利益率」を誇っており、当面の業績は問題ないように思われます。
配当の推移
21年連続増配を続けており、配当金はきれいな右肩上がりの成長を続けています。
一方で、配当性向は若干の上昇傾向が見られます。
- 2010年〜2016年:配当性向45%程度
- 2017年〜2019年:配当性向50%程度
- 2020年〜2021年:配当性向62〜67%
と配当性向が年々上昇しており、2020年はEPSも大きく下落しました。
連続増配を続ける同社にとって「増配」を継続するのであれば「EPS」の上昇は必須条件です。
配当性向60%は危険水域に一歩足を踏み入れた水準となるため、今後の推移が気になるところです。
2391 プラネット
プラネットは日用雑貨業界向けに流通システムを開発している企業です。
企業間で発生する、受発注・出荷・請求・支払いなどのデータの連携をスムーズにする「EDI(データ交換システム)」を提供しています。
個社ごとに異なるデータ要件を「標準化」するプラットフォームを展開し、企業間のデータのやり取りを効率化する仕組みを提供しています。
業績の推移
グラフで見るとほぼ変化がないように見えますが、確実に連続成長を遂げている企業です。
ただし、近年は成長の度合いが鈍化していることがわかります。
- 2005年頃:3〜5%の成長
- 2010年頃:1〜3%の成長
- 2018年以降:1%未満の成長
2021年も売上は0.6%の成長ですが、営業利益は-11%と大きな影響を受けています。
配当の推移
2021年で20年連続増配を達成する同社ですが、
- EPSはコロナ禍に関係なく2019年から下落傾向
- 配当性向60%を超えてきており危険水準
業績の成長が鈍化していることを鑑みると、EPSが急上昇することは考えにくく、連続増配が苦しくなるときが必ずやってきます。
まとめ:すぐに減配はないが業績成長をしないと苦しい
ここまで「未来のJT」になりそうな「連続増配企業」を紹介してきました。
コード | 銘柄名 | 連続増配年数 | 配当性向 | 過去3年EPS成長率 | 配当利回り |
---|---|---|---|---|---|
4452 | 花王 | 32 | 54% | -4.20% | 2.00% |
4732 | ユー・エス・エス | 21 | 63% | -2.89% | 2.74% |
2391 | プラネット | 20 | 61% | -2.65% | 2.79% |
この3社に共通する点は、
- 連続増配に強い意志を持っている
- ただしコロナ禍に関係なく2019年頃から業績下落
- 現時点で配当性向は50%を超えている
- 連続増配はしているが、業績の大きな成長は考えにくい
JTのように、数年で利益が25%減少するような業績の下落はありませんが、「大きな業績成長」をしていない点は注意が必要です。
過去の推移を見る限り業績の急落は考えにくく、この3社がすぐに減配に転じることはないと思います。
しかし、配当の原資は必ず事業から得る必要があり、「連続増配」と「業績成長」は必ずセットでないといつか限界が来ます。
すでに投資をしている方・これから投資をしようとしている方は業績の推移を注視しておく必要があります。
くれぐれも、「業績の低迷+減配」により「株価低迷」を食らってしまわないように気をつけましょう!
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